宣戦布告すれば許されるという珍説


 「戦争は宣戦布告さえしていれば合法である。だまし討ちといわれた真珠湾攻撃も宣戦布告さえ届いていれば合法だった!!宣戦布告を手渡すのが遅れたのは外務省の責任である。外務省の怠慢は万死に値するものである。」

 このような主張が戦後一貫して保守派や旧海軍将校らから唱えられている。だがこれは基本的な事実誤認と言わざるを得ない。

 確かに宣戦布告すれば許される「開戦法規」が存在した時代もあったがそれは1907年の第二回ハーグ万国平和会議から1928年のパリ不戦条約までのわずか22年間に過ぎない。大東亜戦争の際にはすでに死文化していたものである。
 パリ不戦条約以降は理由の如何を問わず先制攻撃をしたものが侵略者なのである。
 
 また開戦法規でさえ宣戦布告から48時間後の攻撃が一般的であり、「宣戦布告というものは攻撃の一時間前でも許される」などという元海軍将校らの主張は、昭和海軍が国際法の無知だったことを露呈しているに過ぎない。
 しかも当時山本五十六ら海軍将校団は真珠湾攻撃を徹底的に秘匿していた。海軍将校らが外務省を責めるは全く筋違いなのである。

 もし現在、中共が宣戦布告後に沖縄を空襲し、自衛官を不当に殺傷すればそれは合法だろうか。
  
 宣戦布告すれば戦争は合法だという主張が仮に正しいとしても、マレー上陸作戦は真珠湾攻撃に先立って開始されており、大日本帝国は英国には宣戦布告はしていない。さらにその際、タイの国土を無断で越境している。

 そもそも彼らの言う真珠湾攻撃後に米側に手渡した文書は「日米交渉打ち切り」の文書であり、宣戦布告ですらなかった。
  

 「宣戦布告さえ届いていれば大東亜戦争は許された」という主張は事実誤認だらけで、そもそも成り立たない。しかし我々保守は戦後60年間これを声高に主張し続けてきたのである。
 なぜ戦後、我々保守はマルクス主義者に圧倒されてきたのか。それは単に偏向報道や自虐教育によるものでない。
 今後、保守思想を国民各位に浸透させるにあたり、我々もこれまでの運動のあり方について自戒と再考を進める必要がある。
 それなくしてこれ以上の保守勢力の拡大は難しいのではあるまいか。

  参考文献 
  「軍事のイロハ」 別宮暖朗 並木書房
  「歴史に消えた参謀 吉田茂の軍事顧問 辰巳栄一」湯浅博 産経新聞出版
                                      
                                       滅罪



posted by 右野翼 滅罪 at 14:37 | Comment(2) | 【日記】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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