良書紹介『「反米論」は百害あって一利なし』

「反米論」は百害あって一利なし [単行本] / 潮 匡人 (著); PHP研究所 (刊)

 この度ご紹介するのは元航空自衛官である潮匡人先生の著書『「反米論』は百害あって一利なし』である。
 潮先生は現場経験による豊富な軍事知識もさることながら、政治思想にも造作が深い。
 特に左翼勢力だけでなく、中道と左翼を巧みに行き来するリベラル勢力にも厳しく批判を続けられてきた。

  
 
 具体名を挙げてのリベラル知識人への批判。
 これだけでもその知識量に驚かされるが、先生は親米派を自認され司馬史観を批判される一方、アメリカの真珠湾攻撃陰謀説いわゆるルーズベルト陰謀説や石油禁輸で追い詰められたという見解を否定されている。
 現在の保守の中ではやや独特の主張をなさる方である。(私などはこれぞ真性保守だと思っているが…。)
 司馬史観やルーズベルト陰謀論の話題はやや脱線するので詳しくは先生のご著書を一読いただきたい。

 司馬史観と太平洋戦争 (PHP新書) [新書] / 潮 匡人 (著); PHP研究所 (刊)

 政治的スタンスは当ブログに極めて近いのでこの度潮先生のご著書、わけても冒頭にご紹介した「反米論は百害あって一利なし」を皆様にも紹介したいと思った次第である。

 本書の前書きを引用しよう。

 いまや日本は国難の最中にある。平成24年11月現在、沖縄県石垣市の尖閣諸島周辺には連日、「海監」や「漁政」など中国政府の公船が押し寄せ、わが国の領海に侵入を繰り返している。
 なぜ、こんなことになってしまったのか。結論から言えば、日米同盟が弱体化したからである。3年前、民主党に政権が交代し、自民党政権下で実施されていたインド洋上での給油活動が終了。さらに鳩山由紀夫総理(当時)が、普天間移設問題で「最低でも県外」と公言し、アメリカ大統領にも「トラスト・ミー」と大言壮語した。
 当時、鳩山総理のブレーンと目された知識人が、今も大手を振ってメディアで活躍する。全国の大型書店では、アメリカ陰謀論を振りまく新刊が平積みされ、ベストセラーとなっている。そうした反米論者の責任もさることながら、今なお彼らを重用するマスコミの責任も重い。反米を合唱しても、何一つ、日本に益することはない。


 ここまで読まれて、正論や産経新聞読者の方には「やれやれ、いつもの民主党批判と親米論か・・・」と思われた方もいるだろう。
 しかし本書は先生の軍事知識を生かして具体的な分析を行っている。特に米軍の実戦部隊がどんどん我が国から出て行き、抑止力が確実に低下しているとの指摘は戦慄を覚える。

 さらに本書の特色は民主党だけでなく、彼らの政策のブレーンを務めた知識人を痛烈に批判していることである。
 我が意を得たりと感じたのは最近マスコミの寵児となっている元外交官、孫崎享(まごさきうける)への批判である。

 孫崎は外交官・元防大教授などを歴任してきた人物であるが外交官としての資質はおろか、その人格さえ疑うような暴言を繰り返している。
 その一部を紹介しよう。

 「日本も中国も自国の領土だと主張しています。どちらもそれなりの根拠があるため、同盟国の米国も中立の立場を取っている」
 「係争地であるという出発点に立たなければならない」
 「(中国の歴史から見ると)すでに14世紀にはその軍事力が尖閣諸島一帯に及んでいたという史実がある」 「日本人にとって受け入れがたい事実だが、尖閣諸島は日本固有の領土ではない」
 
 尖閣問題一つとっても、これだけの放言を繰り返している。孫崎が一民間人ならともかく元外交官・防大教授という肩書きだけに始末が悪い。日本以外の国家でこれだけのことを言えば間違いなく言論人としてはその存在を抹殺されるであろう。

 私が始めて彼の存在を知ったのはNHKの櫻井よしこ氏との論戦の場面だったが、正直始めから孫崎の発言内容には狂気を感じたし、こんな滅茶苦茶な主張は流石に受け容れられないだろうと思っていた。

 しかしどういうわけか彼の著書はベストセラーとなり、尖閣問題が深刻化するのと比例してマスコミ、特にTVでは頻繁に見るようになった。孫崎の強硬な反米主義から情けないことに一部保守にまで評価している者がいる。
 元外交官だということでそれなりの説得力をもっているのかもしれない。だが彼の主張は高尚なものでもなんでもなくありふれた反米陰謀論に過ぎない。
 
 

 本当に外交官だったのかすら疑いたくなるような粗雑な内容である。
 潮先生は孫崎と討論番組で討論したこともあるので、そうした実体験も踏まえて単なる反米陰謀論を振り回し、中国への阿諛追従を絶叫していることを厳しく非難している。孫崎へのカウンターだけでも十分一読の価値はあった。
 そして孫崎や寺島実朗ら鳩山内閣のブレーンだった人物が未だにマスコミの寵児であることからマスコミの姿勢そのものに疑問を呈している。
 
 
 そして本書は最後に保守派への警鐘も鳴らしている。
 要約すると

 反米保守が「新自由主義批判」を展開したために民主党に力を与えた。そう叫んだ人々はあっさりリベラル政権に組した。
 私を批判したのは「保守」の著名人ばかりだったが「バカ」「似非保守」「親米ポチ」などのレッテル張りに終始した。
 歴史教科諸問題などで保守が左翼のごとく教条的なアジテーションを掲げ、内紛と内ゲバを繰り広げた。
 直接行動には積極的だがまともに本も読まずネットで知った陰謀論を振りかざす人々が増えた。


 すべてに私も同感である、いずれも真摯なそして勇気ある警告だろう。
 保守は今言論では左翼よりも遥かに活況がある。だが肥大化すれば中身の陳腐化と一部の暴走もすでに明らかとなっている。それへの反省なくしてはいずれ左翼がそうであったように衰退し、後世批判の的となるだろう。潮先生の警鐘に耳を傾ける自戒する保守の著名人がどれほどいるだろうか。
 
 紹介文がやたらと間延びしてしまったが、保守陣営と我が国の未来の憂えるものなら必読の書である。私にとっても興味深くたちまち読破してしまった。
 是非ご一読あれ!!

                    
                                        滅罪


posted by 右野翼 滅罪 at 23:15 | Comment(1) | 【日記】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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