なぜルーズベルト陰謀論は成り立たないのか


なるべく長くならないよう簡潔に羅列します

●陰謀論の背景

イギリスは連日、ドイツ帝国に攻撃され追いつめられていた。
ルーズベルトはイギリスを救うため参戦したかったが海外で戦争をしないという選挙公約と世論の反対で不可能だった。
そこでドイツの同盟国である日本を戦争に追い込む「裏口参戦」を企図した。

●陰謀論の証拠とされるもの

@ルーズベルトは中国に密かに精鋭パイロット「フライングタイガース」を派遣しすでに日米は交戦状態に入っていた。
Aアメリカは石油禁輸を行い日本を経済的に締め上げた。これをすれば日本は
戦争する他ないと確信していた。
Bアメリカは日本に手を出させる最後の一手として最後通牒「ハルノート」を突き付けてきた。
Cすでにアメリカは日本の暗号を解読していた、ロバートスティネット「真珠湾の真実」によれば日本海軍の暗号は解読されアメリカは航路も掴んでいた。これは小林よしのりの戦争論2でも有名になった。
D真珠湾攻撃の際、アメリカの空母は姿を消していた。これは陰謀の動かぬ証拠である。
Eその他にもルーズベルトの周辺は「日本から攻撃させられないか」という旨の発言を繰り返している。ルーズベルトの陰謀論であったことを裏付けている。

●史実

@フランングタイガースは単なる傭兵部隊。
 募集にあたったシェンノートの活動は難航し参加した110名のパイロットは艦爆・艦攻・テストパイロット・練習航空隊教官などが混在していた。本職の戦闘機パイロットはわずか17名しか存在しなかった。(地上要員として200名も参加)
ビルマで訓練を開始したが、そこでの生活に嫌気がさした136名が離脱している。この敵前逃亡は軍法会議にもかけられていない。
「軍の精鋭パイロットの極秘命令による派遣」とは程遠い。
なおフライングタイガースの初交戦は昭和16(AD1941)12月20日の昆明迎激戦であり「真珠湾攻撃後」その前ではない

Aアメリカの石油禁輸(41年8月1日)より前に日本の南部仏印進駐(同年7月28日)が発生している。
 つまり日本の軍事行動が先で、アメリカの制裁はそのあと発生している。逆ではない。
 7月2日の御前会議「情勢推移に伴う帝國国策要綱」では「南方進出の態勢を強化す」「帝國は本号達成のため対英米戦を辞さず」としており日本は石油禁輸の前に戦争を決意していた。

Bそもそもハルノートは最後通牒ではない
 これはハルノートのタイトルである「Strictly confidential, tentative and without commitment November 26, 1941」(機密,試案であって義務を伴わない日米交渉11月26日米側提案)
 最後通牒は「これを○○日(通常48時間)までに受け入れねば戦争になる」との文言があるのが普通だが、ハルノートはタイトルの通り交渉のタタキ台に過ぎず、期限の明示もない。
 なお日本政府がハルノートを受け取ったのは翌11月27日だが。帝国海軍機動部隊その前日に真珠湾に向けて出撃している。
 また、マレー半島奇襲上陸を目指す陸軍の大輸送船団も南方に向けて航行中であった。つまりハルノートと関係なく日本は奇襲攻撃に邁進していたのである。

C「日本の暗号は解読されていた」という話は独り歩きしている。
 開戦前に解読されていたのは「外務省暗号『パープル』」で「海軍暗号『D』」が解読されたのはミッドウェー海戦の直前つまり開戦後。
 ステイネットの著書は戦後解読された海軍暗号を戦前から解読されたように装ったトリック本の類であり、小林よしのり氏は「戦争論2」の第八版以降から訂正の記事を出している。  

Dそれまでは戦艦が主力兵器として考えられており、空母の有用性・集中運用に気づいたのは山本五十六が初でありこの史実は覆されていない。
 ルーズベルトは山本五十六より先に空母の有用性に気づいていたのだろうか。それを裏付ける資料はない。ルーズベルトの陰謀なら戦艦を逃がして空母を残すのではないか?

E「いっそのこと日本から攻撃があれば・・・」という願望が米政府関係者にあったのは事実。だがそうした言葉を捉えて、陰謀で誘導した証拠とはならないだろう。
 仮に日本政府の閣僚が私的な発言として「もし中国から手を出せば、改憲できるんだがなあ・・・」と発言していたからと言って、中国の尖閣侵略が日本の陰謀だったとはならないだろう。

 そもそも陰謀論の骨子である「裏口参戦論」だが日独伊三国同盟はいずれかの国が攻撃を受けた場合のみ、参戦するのであって日本からの先制攻撃はこれにあたらない。現にドイツがソ連に侵攻しても日本はソ連と交戦しなかった。
 
 実際には真珠湾攻撃(12月8日)を理由としてアメリカがドイツに宣戦したのではなく、12月11日にドイツ、イタリアからアメリカに宣戦布告している。
 ルーズベルト陰謀論があったすればルーズベルトは真珠湾攻撃の後、即座にドイツに宣戦せねばならないのではないか。

 以上の理由からルーズベルト陰謀論は成立しない。
posted by 右野翼 滅罪 at 00:44 | Comment(1) | 【日記】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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