核テロは起こり得るか

核テロは起こり得るか

先週はニコニコ生放送にて『考察、日本核武装論』を放送させて頂いた。日本の核武装の様々な選択肢とそのメリット・デメリットについて我々なりに考察した。静聴頂いた皆様には心から感謝したい。
さて、放送中には時間の制約上触れられなかったが核テロについてのコメントが見られたのでこれについて文章にて考察してみたいと思う。

核テロがクローズアップされるようになったのは冷戦終結後である。
具体的には米ソ双方が欧州に配備していたSADM(核地雷)がソ連崩壊後、テロ組織に流出することが懸念された。
ソ連崩壊後のロシア軍は核物質の管理はずさんを極めていた、またSADMはリュックサックに入る程度の大きさである。
当時のロシア軍は給料の未払いが相次ぎ士気は低下、筆者も記憶にあるが軍事パレードでまともに隊列も組めないような
有り様であった。
『テロ組織がロシア軍の将兵を買収し核地雷を手にすれば?』核テロは90年代の自由主義世界にとり一つの懸念材料となる。
こうした世相を反映してか90年代に制作されたアクション映画や軍事サスペンス小説、PCゲームのシナリオには核兵器を手にしたテロリストと戦うという内容が雨後の筍のごとく生まれた。
核テロをテーマにしたアクション映画は数え上げればキリがないが代表作は『ピースメイカー』(97年制作)ではないだろうか。
ロシアから流出したSADMをジョージ・クルー演じるデヴォー中佐とヒロインのケリー博士(ニコール・キッドマン)が世界を股に掛けて追跡する内容だった。
この手のアクション映画はクライマックスで主人公とテロ組織のリーダーが白兵戦にもつれ込み、核爆発寸前で主人公が辛くも敵を打ち倒し、核地雷の解除に成功するという内容が非常に多い。
筆者を含む多くの多数の映画ファンがこうしたスリリングなシーンに心奪われた。あまりに映画で取り上げれたためか核の脅威と聞くと日本にとり最大の懸念材料である中国の核ではなく、テロ組織への流出だと答える人は多い。
オバマ大統領はプラハでのいわゆる『核なき世界演説』に核テロを挙げており、その脅威はより現実的になったかに見える。
だがこのような核テロはクリエイティブな世界の話であり、あまり現実に起こるとは考えられない。 まずテロ組織がSADMを入手するだけでも困難を伴うが縦しんば入手に成功したとしても様々なハードルを越えなければならない

まずNBC兵器(核、細菌、化学)に共通する問題だが、こうした兵器は保管、メンテナンスが容易ではない。SADMにしても1ヶ月に数回のメンテナンスが必要となる、入手にはこぎ着けてもこうした管理が中東のテロ組織に可能とは思えない。
またSADMは暗号を入力しなければ作動せず、誤った数字を入力すればロックされてしまう。
また仮にそうしたハードルをクリアして核テロを成功させても、自由主義諸国からの報復攻撃は避けられず、核攻撃さえ受けかねない。
このように考えてみれば、入国して肥料爆弾を製造したり、BC兵器をばらまいた方がよほどリスクが少なく効果的であると言える。
では原子力発電所へのテロはどうだろうか。こちらは核地雷より現実的であり怠るべきではないだろう。だが反面テロリストが運搬できる爆発物のみで原子炉建屋を破壊できるとは思えない。RPG-7や旧ソ連製プラスチック爆弾『セムテック』ではすぐに修復可能な被害しか与えることしかできない。また原子力発電所は破壊目的で原子炉の不正な運転操作が行われた場合は、直ちに原子炉の稼動を停止して危機を回避するよう設計されている。そしてテロ組織にとり最大のハードルは現在各国が原発には最大級の警備体制を採っていることである。米国ではすでに74年から映画『ブロークン・アロー』や『24』でも登場した核燃料奪回部隊NESTが存在している。また我が国に置いてもプルトニウムは輸送中は海上保安庁特殊部隊SST(特別警備隊)に警護されており、原発では海には海上保安庁、施設内は県警の原子力関連施設警戒隊が常駐している。
原子力関連施設警戒は全国16道府県警察の機動隊から選抜されているが、武装はニューナンブ回転式拳銃だけでなく、H&K、MP5短機関銃や豊和ゴールデンベアライフルと西側特殊部隊の標準的な装備である。
テロリストがカラシニコフで襲撃してきたとしても増援が来るまで持ちこたえるには十分であろう。そもそも大量のカラシニコフを装備する前に検挙される可能性が大だが。

無論、テロリストが侵入し施設の一部でも破壊すれば福島原子力災害の後であるだけに心理的効果は見込めるだろう。だがそれ以上のものではない。
軍事評論家の故江畑謙介氏が指摘したように原発テロは心理的効果を狙った限定的なものに止まると思われる。
ではオバマ大統領はなぜ核テロに言及したのであろうか。これは田母神空将が指摘したように核を今後も保有するための方便ではないだろうか。
仮に仮想敵国であっても通商維持などのため名指しで言及することは避けることは多い、NATOは現在でも対露の性格を有しているが具体的な表現は避けている。
リムパックやコブラゴールド、ヤマサクラなどの米軍の他国との合同演習でもやはり具体的な仮想敵の言及は避けることが多い。
反面、核テロなどの抽象的表現ならば問題なく核戦力維持を主張できるわけである。
このように核テロは警戒はすべきであるが一般的に言われるほど実行の可能性は低く、日本にとってもさしたる脅威ではない。
世界にとり真の核の脅威は北朝鮮やイラン・シリアといった独裁国家への核の拡散である。また我が国とっての最大の脅威は吉林省通化基地の人民解放軍第二砲兵、中国の対日核ミサイル部隊である。 この通化基地には30〜40発の中距離核ミサイルが実戦配備されている。
これらの核の照準が向けられているのは日本の全主要都市である。


posted by 右野翼 滅罪 at 22:55 | Comment(0) | 【日記】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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