滅罪小説「他国侵逼(たこくしんぴつ)」


 前書き
 
 本ブログ共同執筆者の滅罪がこの度、無謀にも軍事小説に挑戦しようと思います。
 実は私は中学校の頃に軍事小説や仮想戦記小説を読んだのがきっかけで自分でも未完成も含めて数本書いたことがあります。
 我が国の昨今の緊迫する情勢を見て、「もし今年大戦争が勃発したら」という内容で書いてみたいと思います。
 ちなみにタイトルの他国侵逼とは仏教用語です。
 法華経には我が国の政治が乱れた時、三災七難が起こると言われています。最初は地震、次は津波とされており、私も専門家ではないので詳しくは解説できませんが最後に起こるのが災害に乗じた外国からの侵攻、「他国侵逼難」と言われております。
 タイトルは法華経から拝借したわけですが、私も専門家ではなくまして作家ではないのでどこまでタイトルに見合った作品がかけるか不安です。
 仮にも表現者がこのような言い訳をいうのは心苦しいのですが、綿密な取材をする時間もなく、かなり勢いで書いています。訂正のご指摘は大歓迎です。また描写もはっきりいって「小説モドキ」といったほうが適切な稚拙な内容で、見苦しい点が多々あるかと思います。
 また実名が度々出てくるので、人権擁護法案が成立したら即刻削除しようと考えております(笑)
 それでもお付き合い頂ける危篤な方のみお読みいただければと思います。

                 
            


               「他国侵逼」



 

 第1章「Aggression」



 平成24年(皇紀2672年)7月 イラン・イラク国境地帯

 砂漠地帯には夜の帳がおりていた。漆黒の闇の中に薄明かりを覗かせている建造物があった。饅頭のような施設はイラク自衛軍(ジュンデ)の機関銃トーチカだった。
 トーチカの銃眼の中からイラク兵が国境の向こう側を監視していた。小銃こそソ連製AK47を装備しているが戦闘服は米軍から供与されたデザート迷彩だった。旧タイプの「チョコチップ」と言われる模様が荒いものだ。

 「ハサン上等兵、起きてますか?」

 「なんだ、ナジム。」

 傍らで仮眠をとっていたハサン上等兵が面倒くさそうに応えた。

 「イランの奴ら、本気でこの間の戦争の復讐をやろうってんですかね。」

 「核兵器を持ったからっていきなり攻め込んでくるわけじゃないさ。」

 2週間前突如、イランが核実験を強行した。イランの核保有はまだ先と見ていた欧米諸国に衝撃を与えた。中東の米軍が増強され始め、民主化したばかりのイラクでも軍の警戒態勢を上げた。

 「しかし連中、なんでいきなり核なんか持つことができたんですかね。」
 
 「ロシアか中国か北朝鮮あたりからプレゼントされたかもな。俺の兄貴は前の戦争で北朝鮮の兵隊を捕虜にしたといってたぜ。」

 イラン・イラク戦争の際にはイランには友好国北朝鮮から数千の兵員が極秘派兵されていた。

 「俺のオヤジも前の戦争で死にました。しかも味方の筈のフセインの親衛隊に処刑されてです。あんな戦争はもうゴメンです。」

 「俺の親族も何人も死んだ、異教徒は嫌いだが少なくともフセインの頃よりはマシになった。なにより後ろから撃たれるのを恐れなくていい。それにこの戦闘服と武器だ。前の戦争の時は男は根こそぎロクな訓練もせず、駆り出された。だが一番変わったのは・・・・」

 かたわらに置かれた米軍支給のレーションを取り出した。

 「飯だな、格段にうまくなった。」   

 「はははは・・!!」

 ナジム二等兵が笑ったとき、ずしんと地面が揺れた。ハサン上等兵が弾かれたようにAK47と双眼鏡を手に取り、視線を前方に向けた。前方に白煙が上がっていた。
 -これは試射だ、すぐに効力射が来る-彼は瞬時にそれを理解した。空気を切り裂くような落下音が聞こえる。
 
 「伏せろ!!」
 
 彼の叫びと同時に耳をつんざくような轟音が響きわたった。屋根から砂が振りそそぐ、砲撃が終るや否や、混乱したナジム二等兵を尻目にハサン上等兵は有線電話を引っ掴んだ。

 「マムルーク23よりサラディンへ!敵の砲撃を受けた。発砲の許可を・・・・くそ、切れてるぞ。」

 「ハサン上等兵・・・あれを」

 ナジム二等兵の声が震えていた。ハサン上等兵が銃眼から双眼鏡を覗くと彼もまた恐怖せずにはいられなかった。
 ‐地面が動いている‐そう感じされるほどの何十両ものT‐72戦車とBMP装甲車がこちらに向かっていた。

 「逃げろ!!」

 そう叫んだ時、彼らのいたトーチカに直撃弾が炸裂し、轟音とともに吹き飛んだ。
 
 
  尖閣諸島上空

 抜けるような青空を4発のプロペラ機が飛行していた。白色の機体の翼には鮮やかな朱に染められた日の丸が描かれている。海上自衛隊の対潜哨戒機P‐3オライオンだった。

 「我々もそのうち中東に派遣されるんですかね。」

 副長の吉田一尉が呟いた。

 「間違いないな。ホルムズ海峡じゃイラン軍と米英軍の交戦が始まってる。原油価格なんざ見るのが怖いぐらいだ。」

 機長の内藤二佐が応じる。コックピットでは機長と副長、機上整備員が無数に並んだ計器に操作していた。
 イラン軍の突如のイラク侵攻、イラク自衛軍は潰走状態に陥っていた。そればかりではない、イランが弾道ミサイルをエルサレムとテルアビブに撃ち込み、シリア軍がゴラン高原を突破し、イスラエル本土に侵攻を始めた。エジプトにも不穏な空気がある。既に新聞各紙は第5次中東戦争だと報じていた。
 アメリカ議会は直ちに派兵を決定。続々と米軍が中東に向かっていた。
 
 「しかしアメリカさんは早いな。湾岸戦争のときより格段に輸送力が向上してる。」

 「横須賀も岩国も普天間もたちまち、空になりましたね。」 

 横須賀の第七艦隊が、岩国の艦載機部隊を搭載し、沖縄のマリーンを載せる。これが米軍の大規模海外展開の基本行動であり、今回もセオリー通りの展開となった。

 「去年は大震災、今年は半ばにして中東戦争勃発か・・」 

 兵士の本能だろうか。内藤二佐には胸騒ぎがしていた。彼を不安にさせていたのは国際情勢だけではなかった。数日前から無線機が不調だった。彼らの愛機だけではない。全国の自衛隊基地及び、米軍まで広範囲な通信障害やパソコンの不具合が生じていた。
 国会では自民党が国防システムに穴が空いていると民主党を追求していた。
 ‐だがこれは永田町の争いだけで済む問題なのだろうか・・‐内藤二佐の胸中ではいいしれぬ不安が交錯していた。

 「機長、あれは!?」

 尖閣諸島で最も大きい魚釣島上空を旋回していたときだった。吉田一尉は不審な人影を見逃さなかった。
 島の西岸には政治結社・日本青年社が建てた灯台、かつお節工場、船着き場の跡がある。船着場のあたり人が歩いている。1人、2人ではない少なくとも西岸に十人以上が確認できた。機内に緊張が走る。

 「こちらカモメ、カモメよりライチョウへ!!魚釣島に中国人と思われる不審者10を確認。これより警戒監視にあたる。」

 ザーザーと雑音が聞こえ無線機が通じにくい。

「ライチョウ了解、監視を続行されたし。すぐに増援を送る!!」
 
 「あいつらただの船員じゃないぞ。おい、もっと接近しろ写真を撮るんだ。」

 ‐そもそも連中はどうやって上陸したのか、付近には船らしいものはない。このあたりは海保と海自が常時警戒監視している、不審な船舶が気づかれずに接近できるわけがない。
 だとすると潜水艦か!?だったら彼らはプロの軍人ということになる‐恐ろしい結論に戦慄した。
 それに彼らは見つかったというのに全く驚いた風ではない、いやむしろ彼らにとりここまでは予定の行動だったのではないか。

 「おい、ダメだ!!高度を上げろ!!逃げるんだ」

 内藤二佐は兵士の本能として気づいた。‐狙われている‐
 
 黒色の戦闘服を着用した男たちは皆、余裕の表情でP-3を眺めていた。不敵な笑みを浮かべているものさえいる。それは相手より圧倒的優位に立ったが故の高揚した気分であり、これから哀れな草食獣を捕らえんとする肉食獣のそれだった。

 「やれ。」

 指揮官らしい男が残虐な笑みを浮かべ、部下に指示した。指揮官の支持で筒丈の兵器を肩に担ぎ、P‐3Cへと狙いを定めた。先端には弾頭が、筒の下部にはピストル型フォアグリップが取り付けれている。
 「SAー18グロース」旧ソ連性の携帯式地対空ミサイルだった。湾岸戦争などで実戦投入されNATO軍機の撃墜に成功している。
 彼も指揮官同様に残虐な笑みを浮かべ、トリガーを引き絞った。

 「ミサイル警報!!ミサイル警報!!」

 機内に信号音が響いた。機体は全速力で追いすがっていくるミサイルから逃れようとしていた。

 「フレアだ!!フレアを発射!!」

 内藤二佐が叫んだ。フレアとは熱探知ミサイルを回避するための囮弾で、航空機のエンジン排気口から放射されるのと同じ周波数帯の赤外線を出しながら燃焼する。
 たちまちオレンジ色に発光するフレアがばらまかれる。だがミサイルは迷わず内藤機に突き進んでくる。
 ミサイルがPー3の後部に接触して爆発を起こした、たちまち機体そのものが大爆発を起こし、炎上してゆく。
 その様を魚釣島の怪漢たちは感慨深く眺めていた。

 「山頂に司令部を設置する、急げ!!」

 屈強な男たちは最初の勝利に酔いしれるのをやめ、弾かれたようにそれぞれの役割を果たす。プロフェッショナルな軍人であることは明らかだった。 
 5名の乗員の命を飲み混んだ機体が燃えながら落下してゆく、その惨状はこれから起こる動乱のプロローグに過ぎなかった。

                                  了
                                  


posted by 右野翼 滅罪 at 00:57 | Comment(3) | 【日記】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
新コーナー開設おめでとうございます。

第一の滅罪ファンとしては嬉しい限りです。

やっつけとおっしゃいましたが、なんのなんの滅罪先生にしかできない描写がふんだんに盛り込まれてて胸を暑くさせていただました。

次回楽しみにしております。


フレアだ!!フレア!

Posted by みぎの at 2012年02月10日 15:29
勿体無いお言葉です、ありがとうございます。励みになります。

『やれ。』
Posted by 滅罪 at 2012年02月10日 20:45
あなたはただじっと好みの人からの連絡を待つだけで大丈夫
Posted by 逆 ナ ン at 2012年02月11日 21:42
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。